■兵庫県立豊岡高等学校「達徳会館」(旧兵庫県豊岡尋常中学校本館)
明治29(1896)年
兵庫県豊岡市京町12-91
木造2階建
※2013.11.24撮影
豊岡に現存する明治期の数少ない擬洋風官公庁建築の一つ。玄関はイオニア式を模している。
「県立豊岡高等学校の前身は豊岡中学といい、明治29年の開設にかかる。初めの校名は、兵庫県豊岡尋常中学校で、豊岡中学校と改名したのは明治32年のことである。達徳会館はこの中学校の本館として建立されたもので、豊岡に現存する明治期の数少ない擬洋風官公庁建築のひとつである。2階建て、4柱造で大棟の両端から四隅にかけて降り棟がつく。正面は切妻造でベランダが突出している。このベランダは、階下のみを吹き抜けとし、柱間を広く取って玄関とし、柱の上部にコンポジット様式の草飾りを付している。2階ベランダは側方2面を板張りとし正面に大きな窓を付する。これは当時、本館2階が講堂として儀式用に使用され、このベランダ部分は御真影と呼ばれた天皇、皇后両陛下の写真を安置する場所として選定されたためであった。太平洋戦争中、豊岡中学校の全面改築に際し、この建物の消滅を惜しんだ卒業生たちの手によって現在地に移建され、同窓会の名称をとって「達徳会館」と呼ばれている。-現地にある説明文より-」
昭和47(1972)年の大火をまぬがれたのは不幸中の幸いであった。 当時は、2階が講堂、下階は校長室、職員室、宿直室等に使用されていた。位置は現校舎のB棟東端に当たり、東面していた。現在の位置に移転して南面したのは昭和16(1941)年10月の校舎改築の時。危うく公売にされるところを達徳会が譲り受け、以後「達徳会館」とよばれるようになった。-豊岡高校100年史より-