■春駒
香川県丸亀市西平山町
※2009.11.22撮影
柳はまねく新堀の廓
大正5年に発行された『諸國廓巡禮』は弥次喜多式の読み物形式を取っていたが、実質はガイドブックに近く、全国二十箇所の遊廓が登場してくる。高松を発って金刀比羅宮を参詣した帰途、二人の主人公は丸亀にも立ち寄ることになる。
《不知案内の土地を肝太く足にまかせ来てみれば、「新堀」と「福島」、二つの遊廓が湾を隔てて対峙している。湾内の風景も中々好く、夕映えに林立する帆柱の影、さぞやと昔の船着偲ばれた…》。宿の女中の案内で二人が向かったのは新堀。娼妓と芸者を兼ねた二枚鑑札の女性が多かったといい、現れた女性も《芸妓と素人の合いの子風と言ってよい(なり)である…》。戦後、福島遊廓を訪れた『全国女性街ガイド』の著者・渡辺寛氏は《森の石松の遊んだ昔そのままに十六軒ほど軒をつらねている。青楼のつくりも古く、それも吉原より嶋原の風格があるので薄暗い》としるしている。-『赤線街を歩く2』木村聡著- P86・P87「丸亀」より-
■「諸國廓巡禮」
柳原煙苑著・日本書院・大正5年6月発行