■築留二番樋
明治元(1868)年~明治44(1911)年
大阪府柏原市上市2-320
煉瓦造単アーチ樋門、長さ55m、幅2m、1基
市中心部、長瀬川が大和川から分派する地点に築かれる。坑口は、直径約1.6mの3枚厚の半円アーチからなる馬蹄形断面で、坑門とそこから斜めに張り出す翼壁上部に花崗岩の笠石を載せる。小規模ながら、明治の近代河川景観の様を今に伝える貴重な構造物。
■天理教北阪分教会教職舎(旧高岡石松邸)
昭和14(1939)年
大阪府柏原市片山町1-19
木造3階建、瓦葺、建築面積306㎡、塔屋付、1棟
設計/施工・本モーラ土建研究所
2階建に望楼を載せた木造3階建で、八角形の塔屋をあげ、屋根は緑釉瓦葺とし、千鳥破風やコーニスなど和洋折衷の変化に富んだ外観を構成する。壁体は「モーラ式構成網」という特殊な金網を用いたコンクリート造で、類例をみない。
■カタシモワインフード貯蔵庫
大正元(1912)年~大正14(1925)年
大阪府柏原市太平寺2-9-14
木造及び鉄筋コンクリート造2階建、鉄板葺、建築面積48㎡、1棟
堅下ワインの醸造に係わる貯蔵施設で、1階をワイン貯蔵室、2階を資料室とする。陸屋根の2階建で、柱や梁は木造軸組、外壁と床を鉄筋コンクリート造とした。混構造の初期事例。全体に簡素であるが、数少ない地場産業施設であり、地域の景観を演出している。
■寺田家住宅
江戸/寛延4(1751)年~文政12(1829)年
大阪府柏原市今町2-1-14
▶主屋
木造平屋建、瓦葺、建築面積203㎡、1棟
旧奈良街道に西面して建つ。切妻造、本瓦葺、平入、正面下屋庇付のつし2階建町家で、北半は居室部、南半は土間部として、北妻は段違いで座敷を延ばす。正面の上部は壁から軒裏まで漆喰塗とし、虫籠窓や1階の多彩な格子など、風格のある佇まいを呈している。
▶離れ
木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積171㎡、1棟
東西に細長い敷地東側にある。北側は切妻造、本瓦葺の平屋建で、南側はT字型の中2階建になり、入母屋造、桟瓦葺とする。東・西面のほぼ中央に式台玄関を設ける。内部は瀟洒な書院造風に纏められており、巧緻な板欄間など要所に凝ったつくりがみられる。
▶内蔵
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積29㎡、1棟
主屋後方にあり、蔵前が主屋と連続している。南北棟の切妻造、土蔵造2階建で、外壁は腰を「柏原舟」の舟板を用いた縦板張とし、中間を石張風につくり、上部は漆喰塗で鉢巻を廻す。屋根は置屋根式瓦葺で、桁・垂木まで漆喰塗とするなど、丁寧なつくりである。
▶土蔵
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積29㎡、1棟
敷地のほぼ中央にある。東西棟の切妻造、瓦葺、土蔵造2階建で、南面に戸口を設ける。基礎は花崗岩布積、外壁は腰を縦板張とし、上部は桁・垂木まで漆喰塗とする。2階妻面には鉄格子入、小庇付の窓を設ける。堅牢なつくりで、屋敷構成に欠かせない要素。
▶米蔵
土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積85㎡、1棟
敷地のほぼ中央、北面して建つ。南北棟の切妻造、妻入、瓦葺の土蔵造中2階建で、東に切妻造、平屋建の納屋を附属し、北面に一連の吹放しの下屋庇を架ける。下部は縦板で覆い、上部は軒裏まで漆喰塗とする。屋敷構成に欠かせない要素で、つくりも丁寧である。
▶南門
木造、瓦葺、間口3.0m、1棟
敷地南辺の中央西寄りに構える。真壁造で、中央に門口を設け、内開き戸をつけ、西側は一室の納屋として、内側に引違戸をつける。屋根は切妻造、本瓦葺とし、一軒疎垂木の化粧屋根裏で、梁組と束立の小屋組をみせる。米蔵とともに屋敷南辺の景観を整えている。
▶東門
木造、瓦葺、間口1.8m、1棟
東西に長い敷地の東辺中央にある。小規模な薬医門であるが、親柱上に絵様付肘木をのせ、冠木と梁を受ける。軒は一軒疎垂木、屋根は切妻造、本瓦葺で、冠木も瓦棒板葺屋根で覆う。離れ東面の式台玄関に応じた位置にあり、屋敷後方の景観をかたちづくっている。